分類:よもやま話

ブロックゲージとリンギング

 ゲージ屋がその技術・技能の目標とするのは、「ブロックゲージ並みの面粗度・平面度・平行度・寸法」なのですが、そのうち、先ずは、そのラップの面粗度と平面度が目標となります。

 具体的に言えば、任意のブロックゲージの面ときちんとリンギングするようなラップ面を仕立て上げられるようにするにはどうしたら良いかということがテーマになるわけです。

 2個のワークを作成して、それぞれの端面を仕立て上げています。

 リンギングの生じる条件というものがあります。
 例えば、#3000で仕立て上げてもリンギングは生じなくて、#6000程度からリンギングの現象が現れる。
 0.1μmのオプチカル・フラットで検証する平面度で、光筋3本程度でもリンギングが認められる。
 細かく検証していけば、そこには何か法則的な「関数関係」が認められるでしょうが、そういうことの検証に際しては、ハンド・ラップの技術・技能を適用する以外には困難だと思えます。

 ラップをした場合、必ず「ラップ痕」というものがワーク表面に刻まれます。従って、いかなるラップ痕も完全に消去されていなければ「鏡面」とは言えないと、硬く主張される向きもあるのですが、なかなか難しい話になります。
 なぜならば、遊離砥粒ラップ/湿式で、0.5μmのダイヤモンド砥粒を使ってラップした場合、ワーク表面に刻まれる凹凸の高低差は10nm以下のものになるわけですが、しかしながら、この高低差をラップ痕として、人間の視力は視認するわけです。

 従って、ハンド・ラップでのラップという作業ではラップ痕を完全に消去することは出来ないと割り切って、それ以上のことについては、「もう一味別な工程」を要すると考える必要があるのかも知れません。
 機械ラップの世界では、ラップ工程に引き続いて「ポリッシュ工程」が設けられていて、その工程段階でラップ痕を消除するというようにされているわけですが、ハンド・ラップの世界で、そのような「ポリッシュ工程」が設定されなければならないかは、別に議論の必要があります。

 この写真のサンプル例の説明をしておく必要があります。

 ワーク材質はSK3。8Tのもの。
 この材料は、焼き入れ硬度でHRc64が出ます。

 ラップ方法は、#8000。
 #10000ないし#30000といった超微細なラップ材でないと鏡面は仕立てられないとか、リンギングを実現できないとは、全く考えていません。いろいろな条件絡みの話にはなりますが、#6000でラップ痕を消除できた「鏡面」を仕立て上げることが可能です(但し、固定砥粒ラップ/乾式の場合です)。

 最後に、なぜ「鏡面」かという話(疑問)になってしまうわけですが、ワーク表面の面粗度が微細になるに従って、そのワークそれ本来の物性が良く引き出されて、その耐摩耗性が最大限に発揮されるわけです。
 同時に、ブロックゲージの寸法精度条件をワークの側に精確に引き写せるわけですから、高精度なゲージ寸法値を容易に実現することが出来るわけです。

ブロックゲージとリンギング:図1

 

ブロックゲージとリンギング:図2

 

ブロックゲージとリンギング:図3

 

ブロックゲージとリンギング:図4