分類:手技と手業の世界観

技能の原理とその承継

昔、父親の友人で金型製作に従事されている技能職がおられた。徴用で地元の軍需工場に従事されておられたのだが、終戦になって徴用解除された時、その工場の上司が「必ず精算は復活するから」と引き留められたのだったが、「独立起業したいから」と離職されたのだった。
どういう仕事ぶりかといえば、金型の肝腎な部分の平面研磨を砥石を定盤として研磨するわけで、あのインデアン砥石の厚さが2分の1以下に摩滅するまで使い込むわけで、その作業量というのは半端ないものだった。「そこまで厳密なものでないなら、平面研削盤で研削すれば事足りるだろうに・・・」と周囲は言うのだが、頑として折れなかったのだった。もちろん、言うまでもなく、手仕上げされたならそれは間違いないものとなる。平面研削盤でワークを研削した場合、ワーク表面は必ず「中低」の、周辺部が高くなるような形に研削される。

 

(書き掛け・未了)