分類:キー溝幅ゲージ

キー溝幅ゲージの製作技法

フライス盤で基本形状仕様を切削して成形する。
この場合、測定部については、仕立て上げるべき寸法に対して+0.25~+0.35位の余裕を持たせる。通常、仕立て上げの手間を軽減するために、+0.1程度で充分ではないかと考えられそうなのだが、事実その通りなのだが、焼き入れ後の平面研削の段階で調製できることなので、準備段階では余裕を持たせるに越したことはない。
SK工具鋼(SK3/SKS3)の場合の焼き入れ温度は概ね850℃程度なのだが、ダイス鋼(SKD11)の場合はそれが1,050℃程とかなりの高温度が要求されるため、「脱炭層」が存外に大きくなるのではないかと思料され、あるいは、フライス盤の加工精度について過度な信頼はできないため、その分は余計と考えられそうではあるが手間を惜しんではならない。
平面研削盤での加工は、焼き入れしたダイス鋼に対してはcBN砥石で過研削すべしという話が一般的なのだが、GC砥石で十分に対応可能である。

平面研削盤では、仕立て上げるべき最終寸法に対して+0.02~+0.03にする。

SK工具鋼で製作していた時代には、手作業でラップ仕立てを行うべき範囲はできる限り限定されていないといけないという考え方で、+0.01程度のラップ余地を確保しようとしていたのだった。つまり、平面研削盤の検索痕を消除するために0.003程度寸法値が除却されるため、両面で0.005程度ラップされ、残る0.005のところでゲージとしての平面度・平行度を実現していこうという手順ではあった。
しかしながら、SK工具鋼に対するWA遊離砥粒ラップのラップ効率に比して、ダイス鋼に対するcBN固定砥粒ラップのラップ能力は上回るものであるから、平面研削盤での研削段階で余り厳密な加工寸法を追求しても、無駄だとまでは言わないが、得られるところは少ない。ラップ余地として+0.02~+0.03が残されていたとしても、さほど全体の作業時間が過剰になるわけではない。