分類:ハサミゲージの仕様

ハサミゲージの面粗度

ハサミゲージの寸法というものは対向する測定部の二面間の距離寸法をいうのだが、従って、その対向面それぞれの面粗度によって、寸法の意味が変わってくる。
面の粗さというのはその表面の凹凸の「高さの差」を意味するのだが、通常、寸法というのはその凸部の先端間の寸法距離をいうわけだから、その凸部の先端が魔損すれば、そのことによって直ちに寸法の変位として現出してくる。
ゲージの寸法がよく狂うとされる場合、①ゲージの仕立て上がりの面粗度はどれ位か?、②ゲージの焼き入れ部分の硬度その他の諸条件が満たされているか(耐摩耗性の評価)、③ゲージ母材に関して、内部応力の蓄積や偏在をどう見るか、④無意味な外力の付加の有無について、・・・という順番でその原因・理由を追跡していくのだが、この際にも、面粗度についての判断というものは等閑にされがちではある。

言うまでもないことなのだが、ゲージの測定面の面粗度、言い替えれば表面凹凸が小さければ小さい程好ましいわけで、ゲージ素材が固有する耐摩耗性が十分に発揮されるべき条件の一つにもなる。

ゲージの面粗度について、 JIS B 7420 は、「最大でも0.2μmRa」と規定されている(「解説」4.9)。

ゲージ屋の実務的には、SK工具鋼・HRc60に対して、WA・#3000でラップ仕上げされていればクレームが付くことはないのだったが、#3000でのラップ痕を#6000で消除する場合、概ね1μm弱程の寸法の拡がりがもたらされる。旧JIS5級の製作公差が指定されたゲージを製作する場合、#3000で仕上げるということでは、少しく心許ない点があるわけである。