分類:ハサミゲージの仕様

寸法精度の仕立て上げ

ハサミゲージは「限界ゲージ方式」すなわち「穴」と「軸」との嵌合(はめあい)に基づく互換性を保証するものであるから、「軸」は規格の定めの範囲内で小さく、「穴」は規格の範囲内で大きく、それぞれ製作されると確実な嵌合が保証される。
つまり、外径用のハサミゲージは、その製作公差の最小値で仕立て上げられるべきなのである。
ハサミゲージの製作公差の最小値で仕立て上げられるということは、その製作公差に含まれている「摩耗しろ」を最大のものとすることを意味し、ゲージの摩耗という観点からは、 JIS B 7420 で規定されているゲージの「摩耗限界」に至るまでの寸法差が最大になるから、最も長寿命なゲージに仕立て上がるということになる。

従って、ゲージの摩耗の問題を検討するに際して、ゲージの素材材質がどう、焼き入れ状態がどう、といったことが問われる場合、更に一歩踏み込んで、ゲージの仕立て上げ寸法関係がどうなっているかが問われないといけない。

この点については、改めて言うまでもなく、昔から意識されてきた問題で、ハサミゲージ製作に際しての「製作マナー」であるとされてきた問題である。