分類:ステンレス鋼製ハサミゲージ
ゲージの発錆と防錆
「ゲージは錆びるものである」ということなのだが、いわゆるSK工具鋼(炭素工具鋼)の場合、そこに含まれるカーボンが酸素を招き寄せ、結果として発錆が不可避となるということを意味する。
そのために、酸素を遮断する防錆油をゲージ表面に塗布するという作業が不可避なのだが、その都度に防錆油を塗布するという作業は煩瑣なものになる。
発錆の解決のためにはステンレス鋼を採用すれば済むというのがその解決のための早道なのである。
SUS420J2の場合、焼き入れ処理をする必要上カーボンが含まれ、そのため、他のステンレス鋼種に対して発錆が免れないということになって、SUS420J2の採用は余り意味がないとされる場合も少なくはない。
ステンレス鋼の防錆性というのは、その表面に酸化クロム層が形成され、それ以上の酸素の浸潤が防止されるという点に存しているのだが、そのため、カーボンを徹底的に排除したステンレス鋼の製鋼という試みも広くなされ、実用化されてもいる。
SUS420J2の場合、例えばリングゲージや栓ゲージのように砥石研削で仕立て上げる場合、その表面で研削熱が課せられるために、ほとんど強制的に酸化クロム層が形成され、従って、その結果として非常に錆びにくいものが出来上がる。
ハサミゲージ(板ゲージ)の場合は、その表面を微細に仕立て上げることによって、表面の酸化クロム層を丈夫にすることができる。ゲージ測定面は遙かに微細な面粗度になっているから、測定面の発錆はかなりな程度防止できる。
酸化クロム層の特性として、単に表面のクロムが酸素と結合するということにとどまらず、表面にできたキズを修復するという「自己修復能力」が認められ、つまり、内部から表面に向かってクロムが「浸み出す」という効果が認められる。
この点は12%クロム鋼であるダイス鋼でも同様であって、例えばブロックゲージの表面にある微細なキズが時の経過と共に目立たなくなるということは普段に経験していることである。
SK工具鋼製ゲージの場合、測定面が酸化すると、先ずラップ仕立ての「艶」が失われ、灰白色の表面となる。この段階で、材質としての「粘り」が失われ、磨損が進行しやすくなる。その次の段階で暗赤色の粒子状の発錆となるのだが、発錆の表面での拡がりと同時にピン・ホール状に深さ方向に浸蝕が進む。発錆が発生すると、その部分は体積が膨張するから、ゲージ寸法というものは意味をなさない。従って、早めに発錆部分を除却し、ゲージ寸法を仕立て直さないといけない。その作業を担当すべきゲージ・メーカーが確保できていれば良いのだが、そうでなければ、発錆を生じたゲージは廃棄されることになる。
ゲージ測定部の発錆は防止できていた場合でも、ゲージ表面に発錆が進行した場合、ゲージ表面の刻字が読めなくなるということになりがちである。
SUS420J2の場合、発錆が生じた場合であったとしても深さ方向に浸蝕がどんどん進行するということは無くてその表面にとどまるから、磨き直せば錆は除却できる。この点はダイス鋼でも同様である。
「ゲージは錆びるものである」ということなのだが、いわゆるSK工具鋼(炭素工具鋼)の場合、そこに含まれるカーボンが酸素を招き寄せ、結果として発錆が不可避となるということを意味する。
そのために、酸素を遮断する防錆油をゲージ表面に塗布するという作業が不可避なのだが、その都度に防錆油を塗布するという作業は煩瑣なものになる。
発錆の解決のためにはステンレス鋼を採用すれば済むというのがその解決のための早道なのである。
SUS420J2の場合、焼き入れ処理をする必要上カーボンが含まれ、そのため、他のステンレス鋼種に対して発錆が免れないということになって、SUS420J2の採用は余り意味がないとされる場合も少なくはない。
ステンレス鋼の防錆性というのは、その表面に酸化クロム層が形成され、それ以上の酸素の浸潤が防止されるという点に存しているのだが、そのため、カーボンを徹底的に排除したステンレス鋼の製鋼という試みも広くなされ、実用化されてもいる。
SUS420J2の場合、例えばリングゲージや栓ゲージのように砥石研削で仕立て上げる場合、その表面で研削熱が課せられるために、ほとんど強制的に酸化クロム層が形成され、従って、その結果として非常に錆びにくいものが出来上がる。
ハサミゲージ(板ゲージ)の場合は、その表面を微細に仕立て上げることによって、表面の酸化クロム層を丈夫にすることができる。ゲージ測定面は遙かに微細な面粗度になっているから、測定面の発錆はかなりな程度防止できる。
酸化クロム層の特性として、単に表面のクロムが酸素と結合するということにとどまらず、表面にできたキズを修復するという「自己修復能力」が認められ、つまり、内部から表面に向かってクロムが「浸み出す」という効果が認められる。
この点は12%クロム鋼であるダイス鋼でも同様であって、例えばブロックゲージの表面にある微細なキズが時の経過と共に目立たなくなるということは普段に経験していることである。
SK工具鋼製ゲージの場合、測定面が酸化すると、先ずラップ仕立ての「艶」が失われ、灰白色の表面となる。この段階で、材質としての「粘り」が失われ、磨損が進行しやすくなる。その次の段階で暗赤色の粒子状の発錆となるのだが、発錆の表面での拡がりと同時にピン・ホール状に深さ方向に浸蝕が進む。発錆が発生すると、その部分は体積が膨張するから、ゲージ寸法というものは意味をなさない。従って、早めに発錆部分を除却し、ゲージ寸法を仕立て直さないといけない。その作業を担当すべきゲージ・メーカーが確保できていれば良いのだが、そうでなければ、発錆を生じたゲージは廃棄されることになる。
ゲージ測定部の発錆は防止できていた場合でも、ゲージ表面に発錆が進行した場合、ゲージ表面の刻字が読めなくなるということになりがちである。
SUS420J2の場合、発錆が生じた場合であったとしても深さ方向に浸蝕がどんどん進行するということは無くてその表面にとどまるから、磨き直せば錆は除却できる。この点はダイス鋼でも同様である。