分類:手技と手業の世界観
定盤ラップの実際
板ゲージ屋にとって、定盤ラップの技法は「基礎技術」の範疇に属します。
色々な道具を製作する必要に迫られることが多くあるのですが、その場合、ブロックゲージとリンギングさせて使用する道具となる場合が多いため、それだけの面精度を実現できる技法として定盤ラップの技術を身につけなければならないのです。
定盤ラップの技法によって何がどの程度に実現でき、あるいは、どのような限界があるかをよく見極める必要があるのですが、この点等をこれから説明していきたいと思います。
なお、この場合のラップワークは炭素工具鋼(HRc60~62焼き入れ)を前提にしています。
他の材質のワークの場合、ほとんど以下の議論は成り立ちません。全く別の世界になります。この点ご留意ください。
先ず、定盤を作りましょう。
定盤の素材として一般的なものは『鋳物』です。
鋳物屋さんに注文して、適切な大きさのものを作ってもらいます。
当方で作ってもらったものは95W×130L×30H程度のものです。あまり大きなものを作ると表面整形に大変な苦労をしなければならず、ほどほどを心掛けることが肝要です。この大きさから明らかなように、市販の定盤は大きすぎて適切でなく、円形では使いにくいということです。
取り敢えず、両面を平面研磨します。#46でも#60でも#80でも、適当な研磨砥石での研磨で充分です。
次に、角砥石で研磨目を消します。
平面研磨機できれいに表面研磨してあれば十分ではないかと考えそうですが、試しに#3000WAをまぶしてラップしてみてください。
砥粒が研磨目に入り込んでしまってラップできないか、あるいは、研磨目に入り込む以上の砥粒を用いると滑るだけでラップになりません。
さて、角砥石は#600ないし#800のWAもしくはGC砥石から始まります。最終的には#2500~#3000のものが使用できるといいです。
この場合の砥石は、長手の方向にわずかにRが懸かっていることが望ましい。もっとも、定盤で金剛砂を使用して砥石の目立てをしていくと、自ずから砥石にRが懸かるようになりますから、特に意識して砥石面をRになるように心する必要はありません。
平面研磨した鋳物定盤は、中央部が凹となっていますから、外周部から研磨目を消すように砥石で摺っていきます。
平面がうまく出ているかどうかは、この段階では「透き見」で判別していけば充分です。
最終的には#2500~#3000の砥石で表面を整形できれば後の作業が楽になります。
「3枚合わせ」の技法について
*同じ定盤を同時に3枚すりあわせて全部が完全に一致すればその定盤の面は完全な平面となる、というのがこの技法ですが、面に限らず、直定規(ストレッチ)や直角定規の完全な直線・直角を実現しようとする場合もこの技法を使います。
シカラップ仕上げ等で最近注目を集めています。「種定盤」を作る場合の必須技術です。
ここでは、完全な平面を作るわけではないので、透き見でのチェックで充分です。
透き見の直線度
*透き見の直線度は、2つの平面が交わったところは直線となるというユークリッド幾何学の基礎公理に基づくもの。
正確には定盤で交差面をラップしながら完全な直線が実現できるようにしていきます。
直線度のチェックには、ブロックゲージもしくは平形ジョウを用います。
それだけの精度は必要で、ゲージ屋の基礎技術の1つです。
さて、砥石で仕上げ終わったら、#2000~#3000WA(GC)の砥粒を使って定盤表面をラップしていきます。
整形に使用した砥石の研磨目を消します。
砥石の研磨目を消しながら、定盤中央部が高くなるように(凸になるように)ラップしていきます。
照明にかざして、歪みのない像が反映されると完成です。
定盤中央部を高くする理由
*単純に、そうしないとこの定盤を用いる定盤ラップでワークを平面に仕上げられないからです。
完全な平面の定盤を用いる限り、永遠にワークは平面にならず、それぞれの程度に応じたRの懸かったものになります。
中央部の高さ(周辺部との高低差)はどのくらいが適切かは、 ラップ作業者の身長等の体格・筋力・体力・視力等の条件によって
違ってくると思います。私、親父の使用してきた道具類を引き継ぎましたが、結局全部整形し直し・作り直しをしました。他人の道具は、たとえ親子間でも使い物にならない。職人の世界では常識ですが。
砥粒の粒度ごとにそれ専用の定盤を用意しなければならないかどうかですが、別段その必要はありません。
WAやGCの砥粒はラップ作業に際して砕けていくようで、#3000砥粒でラップし終わった後、定盤表面に残った砥粒をよく拭き取り、#4000砥粒でいったんよく擦り込み、それも拭き取って改めて#4000ラップをすれば大丈夫です。
ダイヤモンド砥粒だとそういうわけにいきませんし、そもそも鋳物定盤は不適です。
ここでは鋳物定盤を説明しましたが、定盤の材料としては鋳物に限られません。
ワークの材質と使用砥粒の種別に従ってもっと定盤ラップ効率の高い定盤素材があります。
ここら辺りは定盤ラップと一言で言っても内実は様々です。
ラップ作業をしてみましょう。
ラップ作業の説明に入る前に、定盤ラップと似て非なるものを取り上げましょう。
それは、俗に「研磨シート」と呼ばれているもので、プラスチック・シート上に研磨砥粒を均一に分散固定させたものです。
一般的には測定定盤等の平面精度の良好な台上に起き、その上でワークを摺り合わせて使用するものです。
「平面上でラップした場合、ワークは絶対に平面にならない」のですが、それ以前に、シートそのものに厚みがあり、しかも弾性素材ですから、ワークの周辺部は確実にだれて丸くなります。それを避けるために、ほとんどワークの自重でラップするというはなはだ効率の悪いものとなりがちです。それでも、それで「鏡面になった」と、あるいは「誰でも簡易に鏡面ラップができる」というふれこみの通り、一定の結果が出ますから、この方法が喧伝されるのも無理はありません。
しかしながら、#4000のWAラップシートで実現できる「鏡面」とはどのようなものでしょうか。
平面度は芳しいものとは言えず、もっぱら「曇りのない」「研磨条痕がない」ことをもって鏡面とされているようです。
一定方向にワークを摺動させた場合、そこには研磨条痕が生じます。#20000砥粒を使っても#30000砥粒を使っても研磨条痕は生じます。研磨条痕はあっても、そこでは確実に表面粗さは小さくなっているのですが、研磨条痕がわずかでも認められる限りは「鏡面ではない」とされることがあります。それでは、#4000WA研磨シートでどうすれば研磨条痕が消せるか?
これはきわめて簡単なことで、要するに研磨条痕を短く切っていくこと、つまり、ランダムな方向にストロークを短くラップするということです。単純に言えば、ワークをシート面上で周回させればいいのです。
ワーク表面で研磨条痕によって形成される山と谷との寸法差が均一で、山と谷の形状が均一で、ワークのどの方向へでも光線の反射率が均等であれば、見た目には鏡面となります。ただし、面粗度は研磨シートそれ自体の砥粒粒度で決まっています。平面度は、論じるレベルに至りませんが、そもそもが平面度を期待できるような方法ではありませんから、それはそれという世界です。。
こんな事例を経験されたことはありませんか?
#600ないし#800のWA砥粒を布に付けて、丸棒の先端を丸く加工したものをボール盤にくわえて回転させ、砥粒を付けた布で先端を磨くと、そこには見事な「鏡面」が光っています。この程度の粒度で鏡面は作れるわけです。
なぜ鏡面でなければいけないか? 例えば、金型表面を鏡面に仕上げないと型表面の凹凸がワーク表面に写ってしまうから、とはよく言われることですが、であれば、見た目の「鏡面」は結果論であって、主要な作業課題は「一定公差内の平面度における面粗度」のはずです。光ればいいというものではないでしょう。
さて、前置きが長くなってしまいました。
とりあえず、#2000ないし#3000のWA砥粒を定盤上にラップ油とともによく擦り込みます。
擦り込み終わったら、よく砥粒を拭き取ります。
ワークを定盤上に置き、ワーク全体に均等な力が加わるようにして摺り合わせます。2・3度摺り合わせてワーク表面を点検してください。
ワーク表面の高いところがラップされて光り、それ以外のところはそのままです。光っているところが本当に高くなっているかどうか透き見で見ます。本当に高くなっていれば定盤は正常ですが、そうでなければ定盤に不行き届きな場所があったということですから、定盤を手直しします。
ぬぐい去ったはずのラップ油がワークの摺り合わせとともににじみ出てきます。
それを拭い去ってはラップし、ラップ油がにじみ出てこなくなったら新たに研磨砥粒とラップ油で定盤表面を擦り込みます。
これを繰り返します。
最後に、ランダムな方向に摺り合わせれば、ほぼ結果が出ます。たいてい、この段階でスクラッチ痕が出てしまい、泣きを見ることが多いのですが。
このように、定盤ラップという作業は単純作業です。
実際には、仕事としてやる場合、ワークそのものの作業面は前もって砥石で平面を完成させておき、その砥石面をラップで消すだけという程度にとどめています。例えば、ラップで平面研削盤の砥石目を消そうとすれば、ほぼ5μm強の寸法をラップで摺り下ろす羽目になるのですが、これには多大の時間がかかり、その反面、できあがった面は周辺部が少しだれたものとなってしまいがちです。労多くして効少なしです。
砥石でうまく機械研磨面が消せてしかも良好な平面が作れるかは、定盤ラップにうまく習熟できているかと同時並行的な熟練です。
鋳物の定盤ラップでうまくいくのは、おおむね#2000~#4000WA(GC)です。
うまくいけば#6000位は可能かもしれませんが、スクラッチが出ます。あるいは、定盤面とワーク表面が直接接触することでいやな面になります(やってみてください)。
#6000以下の微細な砥粒を使う場合は、鋳物定盤では無理で、別の素材を定盤にしなければなりません。
ところが、#6000でうまくラップできる定盤は、今度は#10000以下の微細な砥粒に対しては無効で、また材質を考えなければなりません。
経験的には、#2000から#30000に至る砥粒の分別において、だいたい3つの世界に分かれると言えます。
定盤そのものの平面度
*定盤面が全体として緩やかな(作業者の体格や筋力といった条件に従った)中高な面でなければなりませんが、局部的な凹凸には留意しなければなりません。その限界は、使用する砥粒径の半分以下の寸法差で考えています。つまり、#3000WAを使用する場合、ほぼ1μm程度の凹凸が許容限界です(砥粒径の分級で幅があれば、その分、許容限界は拡がります)。それ以上の凹凸があれば、その凹部分では研磨砥粒がワーク面に接触してくれないわけです。許容限界以上の凹凸のある定盤でラップした場合どういうワーク面となるかはやってみてください。案外これでいけるということになるのかもしれませんが。
このような定盤面をすぐに実現することは困難ですから、定盤面の望ましい部分でもっぱらラップ作業をしながら、全体を手直ししながら全体が望ましいものとなるよう定盤面を作っていきます。
定盤ラップのメカニズムを考えましょう。
定盤ラップがなぜ可能となるかについては、定盤表面に砥粒が刺さり込んで一種のヤスリ状態となってワークを研磨していく、という見方と、定盤表面とワーク表面との間で砥粒が転がってワーク表面を研磨していく、という見方の二つがあります。現実にはこの両方の作用でラップされていくということが「通説」というか、教科書的な説明となっています。
これは本当なのか、と疑うところから始まります。
片栗粉を用意してお椀に入れ、水を混ぜます。割り箸の先で軽く混ぜます。割り箸は普通に動きます。今度は力を入れて素早く混ぜます。するとぐっと抵抗が生じて割り箸は動きません。力を抜いて動きを止めると、片栗粉を混ぜた水は元に戻ります。
つまり、一定の媒質に混和された固形粒子は、一定の力が加わると固定するということです。
ラップにおいて、ワークにくわえられる圧力とワークを動かすスピードとによって、研磨砥粒は固定砥粒として機能する、ということです。
従って、ラップ効率(ラップで実現されるワークの表面品質)を左右する要件は、研磨砥粒に混和する「媒質」の如何であることは容易に推測できます。俗に指称される「ラップ油」の問題です。
例えばダイヤモンド砥粒の場合、機械ラップの分野になりますが、このラップ油について、水性・油性で色々なものが指摘されています。
一般論として、砥粒径が小さくなるに従って「軽い」ものとすべきだとされているようです(多分、間違いです。当方ではそのような観点で仕事をしているわけではありませんから)。
ラップ油の機能としては、砥粒をコーテングして分散性を確保するということと、定盤表面とワーク表面が直接接触しないように潤滑性能を持たせるということと、研磨滓をうまく排除していく、という点が指摘されます。しかしながら、ラップ作業に際して遊離砥粒というものが実際には固定砥粒として機能しているという観点からは、ラップ油の流動性が高すぎれば固定砥粒としての機能が低落し、ラップ油の流動性が不十分だと定盤面とワーク面で大きな抵抗摩擦を生じます。ここら辺りが機械ラップの集中的なノウハウなのでしょう。手作業での定盤ラップの場合、ラップ効率の問題とラップ表面品質の問題として発現します。
ここでダイヤモンド砥粒を使う場合を取り上げましょう。
ダイヤモンド砥粒は鉄材研磨には適応困難とされていますが、常温で作業する定盤ラップでは別段問題は生じません。
問題は、ダイヤモンド砥粒の径の大きさに応じた定盤をそれぞれ準備しなければならないこととなる、という点です。
例えば、3μm径の砥粒でラップした後1μm径の砥粒でラップしようとすれば、いったんそれ以前の定盤表面に固着しているダイヤモンド砥粒をことごとく除去しなければ、3μm径の砥粒はいつまでも残ります。完全な1μm径の砥粒でのラップはできません。その都度に定盤表面を仕立て直すという作業は半端な労力ではありません。従って、実務的には、粒径に応じた専用定盤を用意します。
同時に、例えば、1μm径以下の(1/2μm径,1/4μm径の砥粒が市販されています)粒径のものを使用する場合、定盤それ自体の表面精度は大変なものとならざるを得ません。ダイヤモンド砥粒を用いてのラップ作業の真価がこのような超微細砥粒の活用にあるわけですから、安直に定盤が作れるというものではありません。
よく指摘されるのですが、スクラッチ痕を生じさせないためには、定盤材質は柔弱なものの方が望ましい、とされることがあります。
スクラッチを生じても、遊離しているダイヤモンド砥粒が容易に粉砕・消化してくれるでしょうし、そもそもワーク表面の硬度の方が高ければスクラッチ痕となりにくい、というわけです。
定盤ラップとは、定盤面に研磨砥粒が刺さり込んで固定砥粒となる・遊離砥粒は実質的に固定砥粒として機能する、という前提に立って論じてきているのですが、定盤素材が柔弱な素材である場合、研磨砥粒を固定砥粒として保持固定しきれるかどうか、柔弱な定盤素材の表面の平面度をうまく形成・維持できるのかが疑問になります。砥粒が定盤面以下に埋まり込んで機能しないでしょう。
鋳物定盤が超微細なダイヤモンド砥粒を用いてのラップ定盤として不適当なのは、ダイヤモンド砥粒から見れば鋳物定盤表面はスポンジ状のスカスカのもので砥粒保持固定力に欠けるからです。定盤表面が次々と崩壊していくのですから、スクラッチ痕は絶対と言っていいほどなくなりません。
このように見てくれば、超微細なダイヤモンド砥粒をしっかり固定できるだけの堅牢さがあり、しっかり保持していくだけの強靱性を持ち、定盤として平面を形成しやすくメンテナンスも容易である材料、というのがふさわしい要件となります。そんなに都合よく素材が見つかるだろうか、そもそもあり得るのだろうか、というところで苦労しています。
このようなことを考えながら、定盤ラップをしています。
定盤ラップの社会経済的な問題
ラップ用定盤を完成させるためには大変な手間と時間を要します。
ゲージ屋にとっては「道具を作るための基本道具」ですから、色々と作らなければなりません。
ところで、「伝統技術の承継の危機」が強く意識されている昨今ですが、ゲージ屋の世界においても同様で「伝統技術」が亡失されつつあります。
例えば、板ゲージ職人がリストラで・定年でゲージ製造メーカーから退いた場合、単にそこでは板ゲージの作り手がいなくなるというだけでなく、板ゲージを作るための道具を作る知識や技能、経験というものも失われていきます。
規範製品として直角定規が市販されていますが、メーカーがJIS0級や1級やと銘打っていたとしても、それより更に高精度な直角定規が必要となったとき(3枚合わせで作るのですが)、誰が作れるのでしょうか? 3次元測定機で精度検定をすれば万全と考えられがちですが、それでももう1μm削り込まなければならないという場合、3枚合わせができる職人がいなければ対応できず、結果的に3次元測定機で検定しても後の手当ができないという、何のための検定かと笑えない話も少なくありません。
定盤ラップで仕上げるような仕事が世間に広くあるのかどうかはわかりません。
また、定盤製作費用も含めての価格提示が通用するかどうかも分かりません。
それでも、単品ラップ研磨やラップ機に架けられないワークをラップする必要等、あれば有意義な基礎技術ですから、定盤ラップ技法にチャレンジしマスターしておくに越したことはありません。ご健闘ください。
定盤ラップのよもやま話(補遺)
鋳物のラップ定盤を作ろうとする場合の「道具立て」を紹介しておきます。
もっとも大切な道具は砥石です。
WAやGCの砥石はホーニング加工用として市販されていますが、概して硬度が低いです。定盤の最終仕上げに用いようとする場合、その硬度はHRc80~100が望ましい。ただ世間に出回ってないようですから、特注しなければならない場合が多いです。
砥石で注意しなければならないのは、「HRc100の硬度だと硬すぎて使い物にならない、滑るだけです」という忠告を受けるのですが、確かに購入当初の砥石は滑ります。これは購入当初のものは砥石整形のために表面が研磨されているのですが、そのための「目詰まり」が原因で、金剛砂で目立てをして当初の研磨面を完全に除去すればいいのです。
荒おろし用としては、インデアン砥石の中目ないし細目。
砥石目立て用の定盤と金剛砂。
次に研磨砥粒。
メーカーのいう「最少出荷単位」は多すぎて、ロス覚悟で注文するか、どこか小分けしてくれるところを探すか、です。
ラップ油。
灯油・スピンドル油・マシン油など、そこら辺にある油から始めれば良いです。混ぜて「調合」するのも一興です。
定盤面の仕上がり具合を見るための「透き見」。
定盤面の平面度を確認するためのオプチカルフラットがあれば、あるに越したことはありません。
ワーク表面のラップの仕上がり具合を検定するためのオプチカルフラット。
表面粗さ測定機は、面粗度は使用砥粒で決まるので、要らないと言えば要らない。
寸法を測定するためのコンパレータ。分解能は大きいものの方が望ましい。
結構大変な道具立てになってしまいます。
金型屋さんなら今ある道具立てでそのままいけるでしょう。
ラップ定盤として完成品が市販されているかどうかは分かりません。
定盤メーカーのカタログを見ると、検査用定盤として高精度な平面を持つものがいろいろ掲載されています。
ラップ用定盤として特注に応じてくれるのではないでしょうか。
板ゲージ屋にとって、定盤ラップの技法は「基礎技術」の範疇に属します。
色々な道具を製作する必要に迫られることが多くあるのですが、その場合、ブロックゲージとリンギングさせて使用する道具となる場合が多いため、それだけの面精度を実現できる技法として定盤ラップの技術を身につけなければならないのです。
定盤ラップの技法によって何がどの程度に実現でき、あるいは、どのような限界があるかをよく見極める必要があるのですが、この点等をこれから説明していきたいと思います。
なお、この場合のラップワークは炭素工具鋼(HRc60~62焼き入れ)を前提にしています。
他の材質のワークの場合、ほとんど以下の議論は成り立ちません。全く別の世界になります。この点ご留意ください。
先ず、定盤を作りましょう。
定盤の素材として一般的なものは『鋳物』です。
鋳物屋さんに注文して、適切な大きさのものを作ってもらいます。
当方で作ってもらったものは95W×130L×30H程度のものです。あまり大きなものを作ると表面整形に大変な苦労をしなければならず、ほどほどを心掛けることが肝要です。この大きさから明らかなように、市販の定盤は大きすぎて適切でなく、円形では使いにくいということです。
取り敢えず、両面を平面研磨します。#46でも#60でも#80でも、適当な研磨砥石での研磨で充分です。
次に、角砥石で研磨目を消します。
平面研磨機できれいに表面研磨してあれば十分ではないかと考えそうですが、試しに#3000WAをまぶしてラップしてみてください。
砥粒が研磨目に入り込んでしまってラップできないか、あるいは、研磨目に入り込む以上の砥粒を用いると滑るだけでラップになりません。
さて、角砥石は#600ないし#800のWAもしくはGC砥石から始まります。最終的には#2500~#3000のものが使用できるといいです。
この場合の砥石は、長手の方向にわずかにRが懸かっていることが望ましい。もっとも、定盤で金剛砂を使用して砥石の目立てをしていくと、自ずから砥石にRが懸かるようになりますから、特に意識して砥石面をRになるように心する必要はありません。
平面研磨した鋳物定盤は、中央部が凹となっていますから、外周部から研磨目を消すように砥石で摺っていきます。
平面がうまく出ているかどうかは、この段階では「透き見」で判別していけば充分です。
最終的には#2500~#3000の砥石で表面を整形できれば後の作業が楽になります。
「3枚合わせ」の技法について
*同じ定盤を同時に3枚すりあわせて全部が完全に一致すればその定盤の面は完全な平面となる、というのがこの技法ですが、面に限らず、直定規(ストレッチ)や直角定規の完全な直線・直角を実現しようとする場合もこの技法を使います。
シカラップ仕上げ等で最近注目を集めています。「種定盤」を作る場合の必須技術です。
ここでは、完全な平面を作るわけではないので、透き見でのチェックで充分です。
透き見の直線度
*透き見の直線度は、2つの平面が交わったところは直線となるというユークリッド幾何学の基礎公理に基づくもの。
正確には定盤で交差面をラップしながら完全な直線が実現できるようにしていきます。
直線度のチェックには、ブロックゲージもしくは平形ジョウを用います。
それだけの精度は必要で、ゲージ屋の基礎技術の1つです。
さて、砥石で仕上げ終わったら、#2000~#3000WA(GC)の砥粒を使って定盤表面をラップしていきます。
整形に使用した砥石の研磨目を消します。
砥石の研磨目を消しながら、定盤中央部が高くなるように(凸になるように)ラップしていきます。
照明にかざして、歪みのない像が反映されると完成です。
定盤中央部を高くする理由
*単純に、そうしないとこの定盤を用いる定盤ラップでワークを平面に仕上げられないからです。
完全な平面の定盤を用いる限り、永遠にワークは平面にならず、それぞれの程度に応じたRの懸かったものになります。
中央部の高さ(周辺部との高低差)はどのくらいが適切かは、 ラップ作業者の身長等の体格・筋力・体力・視力等の条件によって
違ってくると思います。私、親父の使用してきた道具類を引き継ぎましたが、結局全部整形し直し・作り直しをしました。他人の道具は、たとえ親子間でも使い物にならない。職人の世界では常識ですが。
砥粒の粒度ごとにそれ専用の定盤を用意しなければならないかどうかですが、別段その必要はありません。
WAやGCの砥粒はラップ作業に際して砕けていくようで、#3000砥粒でラップし終わった後、定盤表面に残った砥粒をよく拭き取り、#4000砥粒でいったんよく擦り込み、それも拭き取って改めて#4000ラップをすれば大丈夫です。
ダイヤモンド砥粒だとそういうわけにいきませんし、そもそも鋳物定盤は不適です。
ここでは鋳物定盤を説明しましたが、定盤の材料としては鋳物に限られません。
ワークの材質と使用砥粒の種別に従ってもっと定盤ラップ効率の高い定盤素材があります。
ここら辺りは定盤ラップと一言で言っても内実は様々です。
ラップ作業をしてみましょう。
ラップ作業の説明に入る前に、定盤ラップと似て非なるものを取り上げましょう。
それは、俗に「研磨シート」と呼ばれているもので、プラスチック・シート上に研磨砥粒を均一に分散固定させたものです。
一般的には測定定盤等の平面精度の良好な台上に起き、その上でワークを摺り合わせて使用するものです。
「平面上でラップした場合、ワークは絶対に平面にならない」のですが、それ以前に、シートそのものに厚みがあり、しかも弾性素材ですから、ワークの周辺部は確実にだれて丸くなります。それを避けるために、ほとんどワークの自重でラップするというはなはだ効率の悪いものとなりがちです。それでも、それで「鏡面になった」と、あるいは「誰でも簡易に鏡面ラップができる」というふれこみの通り、一定の結果が出ますから、この方法が喧伝されるのも無理はありません。
しかしながら、#4000のWAラップシートで実現できる「鏡面」とはどのようなものでしょうか。
平面度は芳しいものとは言えず、もっぱら「曇りのない」「研磨条痕がない」ことをもって鏡面とされているようです。
一定方向にワークを摺動させた場合、そこには研磨条痕が生じます。#20000砥粒を使っても#30000砥粒を使っても研磨条痕は生じます。研磨条痕はあっても、そこでは確実に表面粗さは小さくなっているのですが、研磨条痕がわずかでも認められる限りは「鏡面ではない」とされることがあります。それでは、#4000WA研磨シートでどうすれば研磨条痕が消せるか?
これはきわめて簡単なことで、要するに研磨条痕を短く切っていくこと、つまり、ランダムな方向にストロークを短くラップするということです。単純に言えば、ワークをシート面上で周回させればいいのです。
ワーク表面で研磨条痕によって形成される山と谷との寸法差が均一で、山と谷の形状が均一で、ワークのどの方向へでも光線の反射率が均等であれば、見た目には鏡面となります。ただし、面粗度は研磨シートそれ自体の砥粒粒度で決まっています。平面度は、論じるレベルに至りませんが、そもそもが平面度を期待できるような方法ではありませんから、それはそれという世界です。。
こんな事例を経験されたことはありませんか?
#600ないし#800のWA砥粒を布に付けて、丸棒の先端を丸く加工したものをボール盤にくわえて回転させ、砥粒を付けた布で先端を磨くと、そこには見事な「鏡面」が光っています。この程度の粒度で鏡面は作れるわけです。
なぜ鏡面でなければいけないか? 例えば、金型表面を鏡面に仕上げないと型表面の凹凸がワーク表面に写ってしまうから、とはよく言われることですが、であれば、見た目の「鏡面」は結果論であって、主要な作業課題は「一定公差内の平面度における面粗度」のはずです。光ればいいというものではないでしょう。
さて、前置きが長くなってしまいました。
とりあえず、#2000ないし#3000のWA砥粒を定盤上にラップ油とともによく擦り込みます。
擦り込み終わったら、よく砥粒を拭き取ります。
ワークを定盤上に置き、ワーク全体に均等な力が加わるようにして摺り合わせます。2・3度摺り合わせてワーク表面を点検してください。
ワーク表面の高いところがラップされて光り、それ以外のところはそのままです。光っているところが本当に高くなっているかどうか透き見で見ます。本当に高くなっていれば定盤は正常ですが、そうでなければ定盤に不行き届きな場所があったということですから、定盤を手直しします。
ぬぐい去ったはずのラップ油がワークの摺り合わせとともににじみ出てきます。
それを拭い去ってはラップし、ラップ油がにじみ出てこなくなったら新たに研磨砥粒とラップ油で定盤表面を擦り込みます。
これを繰り返します。
最後に、ランダムな方向に摺り合わせれば、ほぼ結果が出ます。たいてい、この段階でスクラッチ痕が出てしまい、泣きを見ることが多いのですが。
このように、定盤ラップという作業は単純作業です。
実際には、仕事としてやる場合、ワークそのものの作業面は前もって砥石で平面を完成させておき、その砥石面をラップで消すだけという程度にとどめています。例えば、ラップで平面研削盤の砥石目を消そうとすれば、ほぼ5μm強の寸法をラップで摺り下ろす羽目になるのですが、これには多大の時間がかかり、その反面、できあがった面は周辺部が少しだれたものとなってしまいがちです。労多くして効少なしです。
砥石でうまく機械研磨面が消せてしかも良好な平面が作れるかは、定盤ラップにうまく習熟できているかと同時並行的な熟練です。
鋳物の定盤ラップでうまくいくのは、おおむね#2000~#4000WA(GC)です。
うまくいけば#6000位は可能かもしれませんが、スクラッチが出ます。あるいは、定盤面とワーク表面が直接接触することでいやな面になります(やってみてください)。
#6000以下の微細な砥粒を使う場合は、鋳物定盤では無理で、別の素材を定盤にしなければなりません。
ところが、#6000でうまくラップできる定盤は、今度は#10000以下の微細な砥粒に対しては無効で、また材質を考えなければなりません。
経験的には、#2000から#30000に至る砥粒の分別において、だいたい3つの世界に分かれると言えます。
定盤そのものの平面度
*定盤面が全体として緩やかな(作業者の体格や筋力といった条件に従った)中高な面でなければなりませんが、局部的な凹凸には留意しなければなりません。その限界は、使用する砥粒径の半分以下の寸法差で考えています。つまり、#3000WAを使用する場合、ほぼ1μm程度の凹凸が許容限界です(砥粒径の分級で幅があれば、その分、許容限界は拡がります)。それ以上の凹凸があれば、その凹部分では研磨砥粒がワーク面に接触してくれないわけです。許容限界以上の凹凸のある定盤でラップした場合どういうワーク面となるかはやってみてください。案外これでいけるということになるのかもしれませんが。
このような定盤面をすぐに実現することは困難ですから、定盤面の望ましい部分でもっぱらラップ作業をしながら、全体を手直ししながら全体が望ましいものとなるよう定盤面を作っていきます。
定盤ラップのメカニズムを考えましょう。
定盤ラップがなぜ可能となるかについては、定盤表面に砥粒が刺さり込んで一種のヤスリ状態となってワークを研磨していく、という見方と、定盤表面とワーク表面との間で砥粒が転がってワーク表面を研磨していく、という見方の二つがあります。現実にはこの両方の作用でラップされていくということが「通説」というか、教科書的な説明となっています。
これは本当なのか、と疑うところから始まります。
片栗粉を用意してお椀に入れ、水を混ぜます。割り箸の先で軽く混ぜます。割り箸は普通に動きます。今度は力を入れて素早く混ぜます。するとぐっと抵抗が生じて割り箸は動きません。力を抜いて動きを止めると、片栗粉を混ぜた水は元に戻ります。
つまり、一定の媒質に混和された固形粒子は、一定の力が加わると固定するということです。
ラップにおいて、ワークにくわえられる圧力とワークを動かすスピードとによって、研磨砥粒は固定砥粒として機能する、ということです。
従って、ラップ効率(ラップで実現されるワークの表面品質)を左右する要件は、研磨砥粒に混和する「媒質」の如何であることは容易に推測できます。俗に指称される「ラップ油」の問題です。
例えばダイヤモンド砥粒の場合、機械ラップの分野になりますが、このラップ油について、水性・油性で色々なものが指摘されています。
一般論として、砥粒径が小さくなるに従って「軽い」ものとすべきだとされているようです(多分、間違いです。当方ではそのような観点で仕事をしているわけではありませんから)。
ラップ油の機能としては、砥粒をコーテングして分散性を確保するということと、定盤表面とワーク表面が直接接触しないように潤滑性能を持たせるということと、研磨滓をうまく排除していく、という点が指摘されます。しかしながら、ラップ作業に際して遊離砥粒というものが実際には固定砥粒として機能しているという観点からは、ラップ油の流動性が高すぎれば固定砥粒としての機能が低落し、ラップ油の流動性が不十分だと定盤面とワーク面で大きな抵抗摩擦を生じます。ここら辺りが機械ラップの集中的なノウハウなのでしょう。手作業での定盤ラップの場合、ラップ効率の問題とラップ表面品質の問題として発現します。
ここでダイヤモンド砥粒を使う場合を取り上げましょう。
ダイヤモンド砥粒は鉄材研磨には適応困難とされていますが、常温で作業する定盤ラップでは別段問題は生じません。
問題は、ダイヤモンド砥粒の径の大きさに応じた定盤をそれぞれ準備しなければならないこととなる、という点です。
例えば、3μm径の砥粒でラップした後1μm径の砥粒でラップしようとすれば、いったんそれ以前の定盤表面に固着しているダイヤモンド砥粒をことごとく除去しなければ、3μm径の砥粒はいつまでも残ります。完全な1μm径の砥粒でのラップはできません。その都度に定盤表面を仕立て直すという作業は半端な労力ではありません。従って、実務的には、粒径に応じた専用定盤を用意します。
同時に、例えば、1μm径以下の(1/2μm径,1/4μm径の砥粒が市販されています)粒径のものを使用する場合、定盤それ自体の表面精度は大変なものとならざるを得ません。ダイヤモンド砥粒を用いてのラップ作業の真価がこのような超微細砥粒の活用にあるわけですから、安直に定盤が作れるというものではありません。
よく指摘されるのですが、スクラッチ痕を生じさせないためには、定盤材質は柔弱なものの方が望ましい、とされることがあります。
スクラッチを生じても、遊離しているダイヤモンド砥粒が容易に粉砕・消化してくれるでしょうし、そもそもワーク表面の硬度の方が高ければスクラッチ痕となりにくい、というわけです。
定盤ラップとは、定盤面に研磨砥粒が刺さり込んで固定砥粒となる・遊離砥粒は実質的に固定砥粒として機能する、という前提に立って論じてきているのですが、定盤素材が柔弱な素材である場合、研磨砥粒を固定砥粒として保持固定しきれるかどうか、柔弱な定盤素材の表面の平面度をうまく形成・維持できるのかが疑問になります。砥粒が定盤面以下に埋まり込んで機能しないでしょう。
鋳物定盤が超微細なダイヤモンド砥粒を用いてのラップ定盤として不適当なのは、ダイヤモンド砥粒から見れば鋳物定盤表面はスポンジ状のスカスカのもので砥粒保持固定力に欠けるからです。定盤表面が次々と崩壊していくのですから、スクラッチ痕は絶対と言っていいほどなくなりません。
このように見てくれば、超微細なダイヤモンド砥粒をしっかり固定できるだけの堅牢さがあり、しっかり保持していくだけの強靱性を持ち、定盤として平面を形成しやすくメンテナンスも容易である材料、というのがふさわしい要件となります。そんなに都合よく素材が見つかるだろうか、そもそもあり得るのだろうか、というところで苦労しています。
このようなことを考えながら、定盤ラップをしています。
定盤ラップの社会経済的な問題
ラップ用定盤を完成させるためには大変な手間と時間を要します。
ゲージ屋にとっては「道具を作るための基本道具」ですから、色々と作らなければなりません。
ところで、「伝統技術の承継の危機」が強く意識されている昨今ですが、ゲージ屋の世界においても同様で「伝統技術」が亡失されつつあります。
例えば、板ゲージ職人がリストラで・定年でゲージ製造メーカーから退いた場合、単にそこでは板ゲージの作り手がいなくなるというだけでなく、板ゲージを作るための道具を作る知識や技能、経験というものも失われていきます。
規範製品として直角定規が市販されていますが、メーカーがJIS0級や1級やと銘打っていたとしても、それより更に高精度な直角定規が必要となったとき(3枚合わせで作るのですが)、誰が作れるのでしょうか? 3次元測定機で精度検定をすれば万全と考えられがちですが、それでももう1μm削り込まなければならないという場合、3枚合わせができる職人がいなければ対応できず、結果的に3次元測定機で検定しても後の手当ができないという、何のための検定かと笑えない話も少なくありません。
定盤ラップで仕上げるような仕事が世間に広くあるのかどうかはわかりません。
また、定盤製作費用も含めての価格提示が通用するかどうかも分かりません。
それでも、単品ラップ研磨やラップ機に架けられないワークをラップする必要等、あれば有意義な基礎技術ですから、定盤ラップ技法にチャレンジしマスターしておくに越したことはありません。ご健闘ください。
定盤ラップのよもやま話(補遺)
鋳物のラップ定盤を作ろうとする場合の「道具立て」を紹介しておきます。
もっとも大切な道具は砥石です。
WAやGCの砥石はホーニング加工用として市販されていますが、概して硬度が低いです。定盤の最終仕上げに用いようとする場合、その硬度はHRc80~100が望ましい。ただ世間に出回ってないようですから、特注しなければならない場合が多いです。
砥石で注意しなければならないのは、「HRc100の硬度だと硬すぎて使い物にならない、滑るだけです」という忠告を受けるのですが、確かに購入当初の砥石は滑ります。これは購入当初のものは砥石整形のために表面が研磨されているのですが、そのための「目詰まり」が原因で、金剛砂で目立てをして当初の研磨面を完全に除去すればいいのです。
荒おろし用としては、インデアン砥石の中目ないし細目。
砥石目立て用の定盤と金剛砂。
次に研磨砥粒。
メーカーのいう「最少出荷単位」は多すぎて、ロス覚悟で注文するか、どこか小分けしてくれるところを探すか、です。
ラップ油。
灯油・スピンドル油・マシン油など、そこら辺にある油から始めれば良いです。混ぜて「調合」するのも一興です。
定盤面の仕上がり具合を見るための「透き見」。
定盤面の平面度を確認するためのオプチカルフラットがあれば、あるに越したことはありません。
ワーク表面のラップの仕上がり具合を検定するためのオプチカルフラット。
表面粗さ測定機は、面粗度は使用砥粒で決まるので、要らないと言えば要らない。
寸法を測定するためのコンパレータ。分解能は大きいものの方が望ましい。
結構大変な道具立てになってしまいます。
金型屋さんなら今ある道具立てでそのままいけるでしょう。
ラップ定盤として完成品が市販されているかどうかは分かりません。
定盤メーカーのカタログを見ると、検査用定盤として高精度な平面を持つものがいろいろ掲載されています。
ラップ用定盤として特注に応じてくれるのではないでしょうか。