分類:ハサミゲージの世界
特殊仕様の問題
既述で「経年変化と指称されているゲージの寸法変位は、応力の問題である」ということを説明しましたが、ここでは、ユーザーサイドに於いて、落とした・蹴った・ぶつけた・無理な使い方をした・・ということに因るゲージの寸法変位を回避するため、ゲージ自体を丈夫なものにしておきたい、という場合に要請される「総焼き入れのゲージ」の問題です。
焼き入れ処理に際して、加熱の不均一さと冷却の不均等さによって変形の結果を招き、しかも、その変形の量と質は事前予測ができません。その歪みやひずみを補正することは結構困難ですから、リスクを織り込んだコストとならざるを得ません。
焼き入れ処理以前の工程における《内部応力》の問題がうまく解決されていない場合、焼き入れによって事前の予想以上に歪み・変形を生じることがあります。これも一般的には「焼き入れ歪み」に含めて理解されている現象ですが、実体的には、内部応力が熱処理によって解放された結果生じた歪み・変形と理解すべきものです。従って、内部応力が蓄積されないように注意深く製作される必要があります。
ただ、ゲージ寸法が狂いやすいとされる場合、ゲージの母材の材質自体が「弱い」「強度が足りない」とされる場合は、もう少しカーボン量が高い鋼種の採用が検討されるべきです。
もう一つの原因・理由として、ゲージの製作時に、仕上げ代が過大であったり不足した場合に「叩き合わせ」を行って寸法調整をしてしまうという場合、当然、そのようなことを行えば内部応力が蓄積されそれが残留応力となって、寸法変位・形状変化の原因となります。
あるいは、仕上げを完了して、ゲージ簿材に入った細かな傷等を除却する場合に、平面研削盤でゲージ表面を研削してそのままにするという場合、砥石を掛けることによって母材表面には焼き入れ状態が残って、それが後の寸法変位・形状変化の原因・理由となります。
従って、平面研削盤で研削し放ちというのはいかにも具合が悪い。
総焼き入れゲージを製作しても、その素材の耐摩耗性が改善するわけではありませんから、ゲージを超硬製にすれば解決するという期待が寄せられます。ゲージの寸法変化は専ら「摩耗」「磨損」によることが原因・理由となっているという理解がその前提にあるわけです。
そのような「理解」が正しいか否かという問題はありますが、測定部だけに超硬製のチップを貼り付けてゲージとするという場合、その「土台」の作りから検討されるべきです。論理的には、そのような作りにおいては、「土台」は総焼き入れでないとあまり意味がないということになりますし、総焼き入れにする場合は、既述のような問題点が解決されないといけない。
超硬材というのは、「摩耗しない」「磨損しない」ということが期待されるわけですが、そのことは、実際には、ワークに対してゲージが「刃物」となるということを意味します。
既述で「経年変化と指称されているゲージの寸法変位は、応力の問題である」ということを説明しましたが、ここでは、ユーザーサイドに於いて、落とした・蹴った・ぶつけた・無理な使い方をした・・ということに因るゲージの寸法変位を回避するため、ゲージ自体を丈夫なものにしておきたい、という場合に要請される「総焼き入れのゲージ」の問題です。
焼き入れ処理に際して、加熱の不均一さと冷却の不均等さによって変形の結果を招き、しかも、その変形の量と質は事前予測ができません。その歪みやひずみを補正することは結構困難ですから、リスクを織り込んだコストとならざるを得ません。
焼き入れ処理以前の工程における《内部応力》の問題がうまく解決されていない場合、焼き入れによって事前の予想以上に歪み・変形を生じることがあります。これも一般的には「焼き入れ歪み」に含めて理解されている現象ですが、実体的には、内部応力が熱処理によって解放された結果生じた歪み・変形と理解すべきものです。従って、内部応力が蓄積されないように注意深く製作される必要があります。
ただ、ゲージ寸法が狂いやすいとされる場合、ゲージの母材の材質自体が「弱い」「強度が足りない」とされる場合は、もう少しカーボン量が高い鋼種の採用が検討されるべきです。
もう一つの原因・理由として、ゲージの製作時に、仕上げ代が過大であったり不足した場合に「叩き合わせ」を行って寸法調整をしてしまうという場合、当然、そのようなことを行えば内部応力が蓄積されそれが残留応力となって、寸法変位・形状変化の原因となります。
あるいは、仕上げを完了して、ゲージ簿材に入った細かな傷等を除却する場合に、平面研削盤でゲージ表面を研削してそのままにするという場合、砥石を掛けることによって母材表面には焼き入れ状態が残って、それが後の寸法変位・形状変化の原因・理由となります。
従って、平面研削盤で研削し放ちというのはいかにも具合が悪い。
総焼き入れゲージを製作しても、その素材の耐摩耗性が改善するわけではありませんから、ゲージを超硬製にすれば解決するという期待が寄せられます。ゲージの寸法変化は専ら「摩耗」「磨損」によることが原因・理由となっているという理解がその前提にあるわけです。
そのような「理解」が正しいか否かという問題はありますが、測定部だけに超硬製のチップを貼り付けてゲージとするという場合、その「土台」の作りから検討されるべきです。論理的には、そのような作りにおいては、「土台」は総焼き入れでないとあまり意味がないということになりますし、総焼き入れにする場合は、既述のような問題点が解決されないといけない。
超硬材というのは、「摩耗しない」「磨損しない」ということが期待されるわけですが、そのことは、実際には、ワークに対してゲージが「刃物」となるということを意味します。