分類:よもやま話
砥石ラップという技法
現在、私が採用しているハンドラップ技法は砥石ラップというものなのだが、これは全くの私の創見になるものではなくて、3・4年前の読んだある専門書で、著者の大学研究者(教授)が開発されたもので、その原理とオペレーションについて説明されていたわけだった。
もっとも、おそらくは特許でガチガチに固められているものと思えるのだが、通常ならもう少し詳細な論述があって然るべきはず(何せ「教科書」なんだから)なのだが、悪く言えば「仄めかしている」ような記述ではあった。
当時は、湿式/ダイヤモンド砥粒0.5μmラップの技術・技能が開発できていて、これで鏡面ラップ仕上げの技術・技法は完璧と自得していたのだが、やればやるだけ、その「弱点」というか、解決できない問題点も自覚できるようになっていたから、その突破口というか、改善の方向に迷っていたわけだった。
つまり、どういうことかというと、ダイヤモンド砥粒でのラップというのは、最終的な仕上げラップであって、仕上げるべき寸法で鏡面仕上げをする直前までは、別なラップ方法で作業を進めている。この作業のまま、鏡面仕上げで寸法を実現できれば、何もダイヤモンド砥粒での仕上げラップをするまでもない。ダイヤモンド砥粒ラップという方法が、必須・不可欠な工程であるかどうかと考え直してみれば、別な、もっと効率の良い方法があれば、別に放棄しても構わないものになるだろう。
砥石ラップという方法が採用されるということは、砥石ラップというのは乾式ラップの原理になるから、ハサミゲージ製作の歴史を根底的に転倒させるものとなるだろう。
そんなことが果たして可能かという不安が常につきまとうことになった。
「この砥石をもってくれば、自在に砥石ラップをすることができます」というわけではなくて、道具というものは、それを行使するためにはさまざまな条件というものが不可欠で、その条件をどう確定していくかに膨大な時間(手間)がかかる。
研磨材屋さんにも、よく機会を捉えては、いろいろと聞き合わせもしたりしたのだが、やはり、自分の使用条件というのは自分で確定していく以外にはないわけだ。
ほぼ3年がかりで開発は終わって、現在ではその方法のみで全部の作業を賄っているのだが、現在の私のやっていることが道具総体の最適条件を満たしているかどうかは分からない。道具が具備している効能が最大限に引き出せているかどうかは、計測できないから、もっと別な条件を実現できれば、いっそうの効率化が図れるのかも知れない。
つまり、最適条件が実現できているか否かは、ひたすら「数をこなす」ことで考えていかないといけない。
だから、なかなか確信が持てないわけだ。
ただ、目的に向かってひたすら一直線というわけではなく、いろいろな道具を考えて試用してきて、目的に対しては「削ぎ落とした」ものが幾つかある。目的には適合しない、あるいは、効率が悪いと判断して放棄したものの内に、もっと目的に適合的なものがあったかも知れない。それがどうかは、今更ながら、もう一度開発過程をお復習い(おさらい)するわけにもいかない。
だから、私のやっていることが、唯一無二なものと主張することはできないわけなので、もっと「集合知」というものの実現に期待する以外にはないわけである。
なお、砥石ラップという原理は、簡単明快なものだから、機械ラップの世界では旧くから試みられてきた技法である。
ただ、問題点があって、それは、砥石面の「目詰まり」をどう解決して、砥石のラップ効能を如何に安定的に持続できるかが、技術的な課題となる。
ごく乱暴な解決策として、砥石表面に固着したラップ滓を「溶解してしまう」というのがあるのだが、なかなか安定的なものにはならないから、依然として湿式/遊離砥粒ラップがメインとなっている。
ところが、ハンドラップの世界では、砥石表面のラップ滓は払拭すれば良いだけというわけだから、まるっきり問題とはならない。だから、乾式/固定砥粒ラップという技法が、ハンドラップの技術的・技能的特質として、機械ラップの世界と画然と区別するものとなるだろうと、私は考えているわけだ。
ついでに言っておくべきことかも知れないが、教科書等には、「ラップには、遊離砥粒ラップ/湿式と、固定砥粒ラップ/乾式の、二つの方法」があると、並列的に説明されているのだが、こういう説明だと、ここで止まってしまうわけなので、正しくは、「ラップというのは、固定砥粒に基づく加工工程で、それには湿式と乾式とが区別される」としないといけない。
学者というのは面白い議論の仕方をされるようで、「「乾式」と言っても、油/水を使っているだろうが」、と。
つまり、湿式というのがラップに通底している「原理」だとされるわけなのだが、ラップに使用されている油/水というものの役割・効用が、この二つの方式の区分けの下では違っているわけなのだ。その違いを指摘できて初めて成り立つ議論ではないのかと、考えている。
通例、ラップ工程で使用されるラップ油(水)を、砥粒を均等分散させるための「キャリアー」だとする位置づけで説明されるわけなのだが、それで説明が尽きてしまうなら、それで必要十分なことであるなら、私は今までこんな苦労はしてこなくて済んだわけだ。
現在、私が採用しているハンドラップ技法は砥石ラップというものなのだが、これは全くの私の創見になるものではなくて、3・4年前の読んだある専門書で、著者の大学研究者(教授)が開発されたもので、その原理とオペレーションについて説明されていたわけだった。
もっとも、おそらくは特許でガチガチに固められているものと思えるのだが、通常ならもう少し詳細な論述があって然るべきはず(何せ「教科書」なんだから)なのだが、悪く言えば「仄めかしている」ような記述ではあった。
当時は、湿式/ダイヤモンド砥粒0.5μmラップの技術・技能が開発できていて、これで鏡面ラップ仕上げの技術・技法は完璧と自得していたのだが、やればやるだけ、その「弱点」というか、解決できない問題点も自覚できるようになっていたから、その突破口というか、改善の方向に迷っていたわけだった。
つまり、どういうことかというと、ダイヤモンド砥粒でのラップというのは、最終的な仕上げラップであって、仕上げるべき寸法で鏡面仕上げをする直前までは、別なラップ方法で作業を進めている。この作業のまま、鏡面仕上げで寸法を実現できれば、何もダイヤモンド砥粒での仕上げラップをするまでもない。ダイヤモンド砥粒ラップという方法が、必須・不可欠な工程であるかどうかと考え直してみれば、別な、もっと効率の良い方法があれば、別に放棄しても構わないものになるだろう。
砥石ラップという方法が採用されるということは、砥石ラップというのは乾式ラップの原理になるから、ハサミゲージ製作の歴史を根底的に転倒させるものとなるだろう。
そんなことが果たして可能かという不安が常につきまとうことになった。
「この砥石をもってくれば、自在に砥石ラップをすることができます」というわけではなくて、道具というものは、それを行使するためにはさまざまな条件というものが不可欠で、その条件をどう確定していくかに膨大な時間(手間)がかかる。
研磨材屋さんにも、よく機会を捉えては、いろいろと聞き合わせもしたりしたのだが、やはり、自分の使用条件というのは自分で確定していく以外にはないわけだ。
ほぼ3年がかりで開発は終わって、現在ではその方法のみで全部の作業を賄っているのだが、現在の私のやっていることが道具総体の最適条件を満たしているかどうかは分からない。道具が具備している効能が最大限に引き出せているかどうかは、計測できないから、もっと別な条件を実現できれば、いっそうの効率化が図れるのかも知れない。
つまり、最適条件が実現できているか否かは、ひたすら「数をこなす」ことで考えていかないといけない。
だから、なかなか確信が持てないわけだ。
ただ、目的に向かってひたすら一直線というわけではなく、いろいろな道具を考えて試用してきて、目的に対しては「削ぎ落とした」ものが幾つかある。目的には適合しない、あるいは、効率が悪いと判断して放棄したものの内に、もっと目的に適合的なものがあったかも知れない。それがどうかは、今更ながら、もう一度開発過程をお復習い(おさらい)するわけにもいかない。
だから、私のやっていることが、唯一無二なものと主張することはできないわけなので、もっと「集合知」というものの実現に期待する以外にはないわけである。
なお、砥石ラップという原理は、簡単明快なものだから、機械ラップの世界では旧くから試みられてきた技法である。
ただ、問題点があって、それは、砥石面の「目詰まり」をどう解決して、砥石のラップ効能を如何に安定的に持続できるかが、技術的な課題となる。
ごく乱暴な解決策として、砥石表面に固着したラップ滓を「溶解してしまう」というのがあるのだが、なかなか安定的なものにはならないから、依然として湿式/遊離砥粒ラップがメインとなっている。
ところが、ハンドラップの世界では、砥石表面のラップ滓は払拭すれば良いだけというわけだから、まるっきり問題とはならない。だから、乾式/固定砥粒ラップという技法が、ハンドラップの技術的・技能的特質として、機械ラップの世界と画然と区別するものとなるだろうと、私は考えているわけだ。
ついでに言っておくべきことかも知れないが、教科書等には、「ラップには、遊離砥粒ラップ/湿式と、固定砥粒ラップ/乾式の、二つの方法」があると、並列的に説明されているのだが、こういう説明だと、ここで止まってしまうわけなので、正しくは、「ラップというのは、固定砥粒に基づく加工工程で、それには湿式と乾式とが区別される」としないといけない。
学者というのは面白い議論の仕方をされるようで、「「乾式」と言っても、油/水を使っているだろうが」、と。
つまり、湿式というのがラップに通底している「原理」だとされるわけなのだが、ラップに使用されている油/水というものの役割・効用が、この二つの方式の区分けの下では違っているわけなのだ。その違いを指摘できて初めて成り立つ議論ではないのかと、考えている。
通例、ラップ工程で使用されるラップ油(水)を、砥粒を均等分散させるための「キャリアー」だとする位置づけで説明されるわけなのだが、それで説明が尽きてしまうなら、それで必要十分なことであるなら、私は今までこんな苦労はしてこなくて済んだわけだ。