分類:よもやま話

仕上げ工程とブロックゲージ(続)

 最終仕上げと寸法検証には、JIS1級・103個セットを使用する。
 もちろん、0.991~0.999の9個セットも必須ではあり。
 貼り合わせ枚数を少なくできるだけ、ブロックゲージの寸法変位の影響を小さくできる。

 検査用にはJIS0級ブロックゲージを使わないといけないという向きもあるのだが、0級は「基準用」であって、ゲージの製作に直接使用すれば一挙に摩耗をきたすので、寸法精度が定義できなくなる。
 ブロックゲージを検定する検査設備を持つということが考えられるのだが、0.01μmレベルを測定するという作業は、例えゲージ屋であるとしても、あまり現実的な作業ではない。

 0級ブロックゲージは、103個セットと47個セットとを持ち合わせている。
 ゲージ屋の品質管理システムとしては、0級ブロックゲージを起点として、寸法精度の管理が体系化されるし、また、されないといけないのだが、これは、0.5μm以下のレベルで寸法検証が図られなければならないという業務の特質によるものであって、何でもかんでも0級ブロックゲージでなければならないというものではない。

 普通なものづくりでの現場では、マイクロメータでの寸法コントロールが図られれば十分というところでは、2級ブロックゲージを1セット準備しておけば十分なはずだが、どういう話のいきさつか、0級ブロックゲージのセットを売りつけられていた工場があった。そのブロックゲージの寸法検証(校正)のために、デジタル・マイクロメータを使いたいのだが、と言われたときには絶句してしまった。

 0級ブロックゲージを規準にして、0.5μmを最小分解能とする比較測長器(コンパレータ)で工作用に使用している2級ブロックゲージの損耗情況を検証するということはもちろん可能で、可能であるばかりか、不断に検証しないと具合の悪い羽目に陥る。

 ハサミゲージの作り方としては、どういう特定の寸法値に仕立て上げるかがまず決定されて、その寸法を実現する。
 こういう製作姿勢だと、複数個の同一規格のハサミゲージについてそれぞれ同一寸法に仕立てられる。
 複数個のゲージが発注されるという場合、その数だけの製造ラインで使用されるということなのだが、例えば、AラインのZ1ゲージで合格したワークが、BラインのZ2ゲージでは不合格となる場合があり得る。特に、ゲージの製作公差範囲が以前より拡がっている現行規格の下では、この心配はいっそう大きい。
 従って、ゲージ製作に際しては、軸用の外径用ハサミゲージについては、ゲージの製作公差の最小値で、全数を同一の寸法値にまとめないといけないわけである。

仕上げ工程とブロックゲージ(続):図1

ツガミ・プレシジョン製の103個セット。 

仕上げ工程とブロックゲージ(続):図2

同じく、ツガミ・プレシジョン製の9個セット。