分類:手技と手業の世界観
ハンドラップの道具考
ハンドラップ作業に於いて使用する道具類は、体系立っているというか連関づけられているというか、いくつかの道具の組み合わせで成り立っている。
遊離砥粒ラップ/湿式の場合、鋳物製のラップ工具+ラップ砥粒+ラップ油の組み合わせに、ラップ工具用の目立て定盤(鋳物製)という組み合わせが標準的なものとなっている。
この場合の「ラップ工具用の目立て定盤(鋳物製)」というのは、ラップ工具でラップ作業を行えば、ラップ砥粒が破砕されて微細な泥状のものになっていくから、その砥粒を新たなものと入れ替えて、併せて、ラップ工具表面の磨損を是正して必要な平面度を維持していくというためのものであるのだが、外観上は鋳物製定盤そのものである。この定盤が余り大きなものだとその平面度の維持に大変な手間暇が掛かるから、ラップ工具の大きさに相即した小さなもので作るのが相応しい。
鋳物屋さんに依頼して作って貰ったのだが、その際にラップ工具用の薄板も作って貰った。そこからラップ工具用の切片を切り出す。
ラップ工具の大きさについては、幅15mm×長さ50mm×厚さ3mm位を標準形にしていたのだが、ラップ作業での仕立て上げの面粗度をアップしようとし、あるいは、微細な寸法加工を追求しようとして、歳を経るに従って、幅を小さくすることになっていく。幅が小さくなれば、ラップ工具平面の仕立て上げが比較的容易になる。現在では幅を11mm~13mmとしている。幅が1mm違えばラップ作業は大違いになるということは、それぞれで体感されることなのだろうが、ラップ加工の有り様をコントロールできるようにと考える場合、ラップ工具の「幅」ということに配慮すべきなのである。若い頃のままにいつまでも作業できるというものではない。
固定砥粒ラップ/乾式の場合、cBN砥石製のラップ工具+目立て油+目立て砥粒+目立て定盤という組み合わせになる。単純に、砥石は目立てを不断に行わなければならないというだけのことなのである。
目立てに油を使うことから、「乾式」ラップといっても実際は「湿式」だろうが?と言う向きもあるのだが、「乾式」と「湿式」との違いは砥粒の効用という点で原理的な違いが決定的なものとしてあるから、単純に油を使うか否かで区分されるわけではない。
砥石の目立てという場合、砥石のラップ力を最大限に発揮させるべき事が目立ての意義だということがあるのだが、砥石のラップ力というのは砥石表面の砥粒のワーク表面に対する「切り込み力」のことを意味するから、砥石のワークに対する「切り込み力」をいかに大きなものになるようにするかということになる。
従って、目立て砥粒にWA砥粒を使って、砥石表面のcBN粒子を損耗させないでその結合成分に作用してcBN砥粒をばらけさせていけば良いという考え方に立つことになる。そうではなくて、砥石表面のcBN粒子を直接毟り取っていくことで目立てができるという考え方に立てば、目立て砥粒としてCやGCを採用することが望ましいという話に至る。
どういう考え方に立脚するかによって目立ての技法が大きく変わってくる。
しかしながら、目立ての目的について、いかに砥粒の切り込み力を大きなものにするかということが物事の半分しか語っていないわけで、ラップ作業に際してラップ砥石がいかにスムースにラップ力を発揮するかという、cBN砥石の「表面潤滑」の問題を等閑(なおざり)には出来ない。
目立て砥粒と目立て油の選択の問題になるのだろうと考えている。
このように、道具を考える場合、一般に市販されている素材や研磨材の取り合わせで目的の実現を図るということなのであって、何か特殊・特異な素材や研磨材を考え出して、道具を秘匿することが技法・技能の秘匿に結びつけるということは有り得ないことなのである。
一般市販の素材や研磨材の効用を生かすも殺すも作業者の技能一つに関わるというのが、私らの手業の世界なのである。
ハンドラップ作業に於いて使用する道具類は、体系立っているというか連関づけられているというか、いくつかの道具の組み合わせで成り立っている。
遊離砥粒ラップ/湿式の場合、鋳物製のラップ工具+ラップ砥粒+ラップ油の組み合わせに、ラップ工具用の目立て定盤(鋳物製)という組み合わせが標準的なものとなっている。
この場合の「ラップ工具用の目立て定盤(鋳物製)」というのは、ラップ工具でラップ作業を行えば、ラップ砥粒が破砕されて微細な泥状のものになっていくから、その砥粒を新たなものと入れ替えて、併せて、ラップ工具表面の磨損を是正して必要な平面度を維持していくというためのものであるのだが、外観上は鋳物製定盤そのものである。この定盤が余り大きなものだとその平面度の維持に大変な手間暇が掛かるから、ラップ工具の大きさに相即した小さなもので作るのが相応しい。
鋳物屋さんに依頼して作って貰ったのだが、その際にラップ工具用の薄板も作って貰った。そこからラップ工具用の切片を切り出す。
ラップ工具の大きさについては、幅15mm×長さ50mm×厚さ3mm位を標準形にしていたのだが、ラップ作業での仕立て上げの面粗度をアップしようとし、あるいは、微細な寸法加工を追求しようとして、歳を経るに従って、幅を小さくすることになっていく。幅が小さくなれば、ラップ工具平面の仕立て上げが比較的容易になる。現在では幅を11mm~13mmとしている。幅が1mm違えばラップ作業は大違いになるということは、それぞれで体感されることなのだろうが、ラップ加工の有り様をコントロールできるようにと考える場合、ラップ工具の「幅」ということに配慮すべきなのである。若い頃のままにいつまでも作業できるというものではない。
固定砥粒ラップ/乾式の場合、cBN砥石製のラップ工具+目立て油+目立て砥粒+目立て定盤という組み合わせになる。単純に、砥石は目立てを不断に行わなければならないというだけのことなのである。
目立てに油を使うことから、「乾式」ラップといっても実際は「湿式」だろうが?と言う向きもあるのだが、「乾式」と「湿式」との違いは砥粒の効用という点で原理的な違いが決定的なものとしてあるから、単純に油を使うか否かで区分されるわけではない。
砥石の目立てという場合、砥石のラップ力を最大限に発揮させるべき事が目立ての意義だということがあるのだが、砥石のラップ力というのは砥石表面の砥粒のワーク表面に対する「切り込み力」のことを意味するから、砥石のワークに対する「切り込み力」をいかに大きなものになるようにするかということになる。
従って、目立て砥粒にWA砥粒を使って、砥石表面のcBN粒子を損耗させないでその結合成分に作用してcBN砥粒をばらけさせていけば良いという考え方に立つことになる。そうではなくて、砥石表面のcBN粒子を直接毟り取っていくことで目立てができるという考え方に立てば、目立て砥粒としてCやGCを採用することが望ましいという話に至る。
どういう考え方に立脚するかによって目立ての技法が大きく変わってくる。
しかしながら、目立ての目的について、いかに砥粒の切り込み力を大きなものにするかということが物事の半分しか語っていないわけで、ラップ作業に際してラップ砥石がいかにスムースにラップ力を発揮するかという、cBN砥石の「表面潤滑」の問題を等閑(なおざり)には出来ない。
目立て砥粒と目立て油の選択の問題になるのだろうと考えている。
このように、道具を考える場合、一般に市販されている素材や研磨材の取り合わせで目的の実現を図るということなのであって、何か特殊・特異な素材や研磨材を考え出して、道具を秘匿することが技法・技能の秘匿に結びつけるということは有り得ないことなのである。
一般市販の素材や研磨材の効用を生かすも殺すも作業者の技能一つに関わるというのが、私らの手業の世界なのである。